元の流れに帰るでもなく

 

『どうも。二ヶ月連続の百々目です。藤林君は余計な事を口走る癖がありますので、暫時的に私が当報告を担当しております。どうぞよしなに。

 さて、結局私達は伊賀部隊に戻らず、御館様の側に再び居ついております。それも飛騨忍軍などというあまり聞いた事のない部隊に囲われる形で。大した流浪の民っぷりだと思います。

 さて、この月になれば周知の通りだと思いますが、先月竜胆を殺したのは、息子である所の浅葱丸でした。偶発的な、極めて事故に近い出来事でありましたが、子が親を殺すのは、とても悲しい事なのだと思います。殊に源治君も父親を戦で亡くした身、かような凄惨さに耐えられず、伊賀に愛想を尽かした挙句の果てに出奔。この報告を誰が読んでいるのかは知りませんが、そういう風に考えておいて頂けると幸いです。

 さて、次に如何なる手を打つべきか。最早私達に後戻りはききません。前に進まなければならないのですよ、私達は。』

 

 

文責:百々目葵

 

 

戻る