逃げたウサギと目覚めた「彼」?
仲間が重傷の浅葱の手術をする間、俺は護衛くらいしかできなかった。
ウサギ仮面がまた来るのは確実だろう。まともに戦えば勝ち目はないから、
空き病室に罠を仕掛けまくってドアに「ここには浅葱はいません」と書いておく予定だった。
しかし看護師の鉄拳制裁を食らう羽目になった・・・怖ええ。
空き病室がないってのはどういうわけだ?入院患者多すぎだぞ。
だが天眼鏡を使った仲間のおかげで、どうにか即席の罠を準備できた。
正面から入ってきたウサギ仮面とは別に、窓を割って飛び込んできたウサギ二人組。
奴らだ!
狙い通りうまく網にかかったが、すぐに逃げられちまった。もっと準備する時間があれば・・・。
正面から入ってきたウサギ仮面のほうは死亡。
敵とはいえ・・・ほんとに殺し合いになっちまったのか。
浅葱の手術は無事終わったらしい。
だが朱華は、肉体的には無事・・・ってどういうことだよ?
リンナが虫を作るために死んだことを聞かされた朱華は言ったそうだ。
「ほう、あれを作ったのか。使ったのは、ひとりか? ならば長くは持たないぞ。なんに使うか知らぬが気をつけろ」
そしてリンナの遺言通り、虫の使い方を知ってるはずの桂木アンナに会いに行った連中は。
「扱い方が分からないままでは、虫はずっと食べ続けています。そして、満腹になるまで食べると、壊れてしまいます」
という答えを聞いた。
「わたしに分かるのは、あれがいつか壊れて、元に戻すためには、リンナと同じことをしなければならないってことだけよ」
殺し合いをせずに「彼」が目覚めたというなら、良かったのか?
だがこんな朱華は不気味だ・・・何より虫をちゃんと使えなくてはリンナの犠牲が無駄になるばかりか、さらに犠牲が出かねない。
なんとかしなくては・・・だが、どうする?
文責:双月響