往く河の流れは絶えずして

 

『どうも。こちらでは初めまして。百々目葵と申します。口の利き方を知らないと音羽君からはよく言われますが、別に悪意がある訳ではありませんので、その辺は容赦願います。

 さて、本来なら当リポートは藤林源治君が担当すべきであるのですが、とある一件以来腕を組んでばかりでロクに会話にもならない状態であります。彼が何を考えているのか、まあ、付き合いが古いので大体は想像出来るのですが。

 取り敢えず、短く現状を報告します。藤林竜胆は死にました。

 彼が目指していたものが何か、隠していた思惑が何かは、残念ながら言えません。よってリポートがリポートの体裁を為さないのは残念の極みです。ただ、あの場に居た者は、受けて自らに何を為せるかを考え、そして脈々と流れる血の記憶を絶やしてはならない。とは、藤林源治の受け売りです。

 相変わらず私はこの戦いの傍観者であろうと思います。不要に感情を移入して、心に痛手を負いたくはありませんので。今の源治のように。それでも一つだけ心に定めなければなりません。極めてシンプルな一つの決意を。

 敵はひとり。ただひとり。』

 

文責:百々目葵

 

 

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