これが予想された成り行き

 

 どうも。熱湯で喉の奥を火傷してしまいまして、御飯を飲み込むのも一苦労といった按配の藤林源治です。

 苦しい。本当に苦しい。こんなに苦しいのに肉だけは、喉に出来た水疱を押し潰してでも、噛み砕いて租借して嚥下せずにはいられません。食欲すごい。数ある人間の本能の中でも、最強の欲望だと僕は思うんですよ。

 とまあ、こんな書き出しを始めたら勘の良い方は察しが付かれるかと思いますが、も一つ今月もパッとしない結果です。浅葱丸奪還が上手く行きませんでしたからね。これはまあ、服部部隊全体に言える、冴えない結果であった訳ですが。

 それにしても今回は、その後に更なるサプライズが待ち構えていた次第です。何と、藤林当主の藤林竜胆は、敵の首魁であるお館様と通じていたのです!

 って然程驚くような話でもないんですけどね。大体向こうの情報がこちらに筒抜け状態であるにも拘らず、その最要因たる竜胆に対し、敵側が何らの手段を打たなかったという点が物凄く怪しい。

 結局竜胆さんは自らゲロって、大人しくお縄を頂戴したという顛末だったのですが、何もかもが腑に落ちません。

 何故脱出を強行しなかったのか?

 お館様に通じていたなら、そもそも何故件の巻物を奪取しなかったのか? 何時でも奪い取れる位置に居たはず。

 今現在になって、彼自身の行動を全て止めてしまった、その真意が不明。

 色々疑問はあるのですが、何しろああいう人なので、自らの考えについて口を割るという事は有り得ません。他者から割らされる事も無いでしょう。何らかの意思を持って幽閉の身を甘んじていると捉えざるを得ないのですが、その考えを推し量るよりは、僕は彼に動いて欲しいとは思います。

 彼は敵に通じているのであろうし、更には撫子の身を案ずる者でもあります。その何れもが彼の真意であるなら、彼の為す立場が今後の闘いにおいてどのような意味を持ってくるのか。それを知る為には、彼が動く必要があるのです。

 

 

文責:藤林源治

 

 

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