有名人続々登場
どうも。実家から送られてきた猪肉でボタン鍋を作った所、スンゴイ臭気を発して寮の皆さんから大顰蹙を買った藤林源治です。母さん、野生動物はちゃんと血抜きをしてないと臭いも味も大変らしいです。僕は平気でしたが。
さて、今月のくちなわ谷ですが、三甚内を主軸とした部隊による襲撃からの防衛戦でした。母さん、また防衛戦です。
三甚内というのは講談の世界では有名所でして、庄司甚内《しょうじじんない》、勾坂《こうさか》甚内、飛沢《とびさわ》甚内という元忍者の大泥棒です。非常に名の知れた彼等なのですが、こうして全国忍者連合の一員として案の定参戦してきたという次第。彼等がその名の通りの実力の持ち主だとすれば、これは非常に恐ろしい。苦戦は免れぬと思ったら、矢張り大苦戦でした。
僕が対処を考えたのは、内一人、勾坂甚内でした。三人の中で最高の盗賊技能の持ち主であり、かつ最強の手練であるとの認識の元、確実にこちらの防衛網を突破してくるだろうと。これは当たり。眉唾ではありますが、宮本武蔵に師事した事もあり、とすればその技は二天一流のようなものを、相当の剣技を持ってくるだろうと。これも当たり。そしてそれへの対処が間違っていた、という次第。駄目だ。
ともかく僕は、まともに遣り合ってはいけないと思っていました。だから先手を打つ必要がある。よって目潰しの閃光を初手で放って、一気に事を終わらせる、という考え方自体は今でも悪くなかったと顧みますが、自分がつけていた閃光避けのサングラスで、こちらが何を仕掛けるか感づかれるとは。恐るべし勾坂。いやさ、恐るべし僕の配慮不足。死ななかっただけでも僥倖でした。
戦況は、相変わらず厳しいです。厳しいながらも服部部隊は、辛うじて襲撃を跳ね返し続けています。僕達の側の力量が上回っている、等と考える気は毛頭ありません。本気で叩き潰すならば、部隊を小出しにしてくるという下策中の下策を向こうが取るはずも無く、僕らは間違いなく、向こう側からの総攻撃を敢えて出さずにおかれているのです。
どういう事でしょうか。お館様という訳の分からない存在の意思が、間違いなく働いているこの状況、裏に十重二十重の思惑が秘められているのは確かです。
無論、彼等の戦力が一方的に疲弊して行く状況は、意図はともかく僕としては願ったり叶ったりでありますけどね。
文責:藤林源治