学習発表の説明とそれに伴う仕合

 

 はい、ここ読んでいる人。そう、あんたよ、あんた。

 ここの主旨ちゃんと分かってる?

 この「学習発表]の場は、私たち学生がその本分として、この一ヶ月の間に「こんな学習をしました」とか、「こんな経験をして成長しました」とかいうものを発表する場なのよ。

 大学受験という、それなりにハードルの高い関門がないこの八十神学院じゃ、ぐーたらしてたらホンモンの莫迦になるからね。まあ、少しはノーミソ使いましょうって、そういうワケ。

 状況は理解できた?

 OK?

 それじゃ、あたしの発表もするわね。

 

 あたしと風霞(妹)がなにをしてたのかってところは、風霞の発表でだいたいのところは書いてあるようだけど、風霞め、発表と言いつつあたし達について具体的なことは何も書いてない!

 ふっ。そつがないようで決定打に欠ける風霞らしいわね。

 そんなわけで、風霞の言うところの『激闘トラウマ合戦』について説明をしましょう。

 今回の「昼下がり特設校」のテーマは、「防塞とは何ぞや?」だったんだけど、あたし達は「防塞とは共に助け合う輪楔者の絆」と見たのよ。

 そりゃそうでしょ、「輪楔者」なんて訳の解らない存在であるあたし達にとって、真に頼りになるのは仲間そのものよ。

 どんなに安全と思える場所にいたって、隣にいるヤツが信用出来なきゃ意味はない。

 輪楔者といえども一人じゃ生きてはいけないものね。

 その意味であたしは風霞を頼りにしてるし、多分、風霞もそうだと思う。

 さて。

 あたし達の結論が出たところで問題は、発表方法にあった。

 昼下がり特設校のやり方じゃ、こういったテーマについて延々と論議…って言うより自己主張するだけなのよね。

 もとより正解はない。

 見方によっちゃ、糸内先生の「納得」が得られればOKってことなんでしょうけど、生憎とあの先生、何でも納得するから始末に負えないのよ。

 口八丁のディベートだったら風霞に任せておけば安心だけど、あたしはそういった才能はないからね。実践の場でアピールすることにしたワケ。

 やり方は簡単、あたしと風霞と対するコンビを指名し、仕合をする。

 得物は竹刀とウォーターガン。陣地には旗。

 竹刀か水がどこかに当れば死亡扱い、全滅もしくは旗を取られた方が負け。

 まあ、試合に勝つのは目的じゃないから、気楽なものよ。

 それでもあたし達の「防塞」を発表出来なきゃ意味はないから、相手はコンプレックスの強そうな糸内豆にした。

 あたしがオフェンスで、風霞がディフェンスに徹する……と見せかけ、風霞が豆の名前をイジって突出させ、挟み撃ちで討ち取る。

 仮に豆が意外に強くて、あたし達が負けても同じこと。

 要するに、実践の場でいかに連携している方が強いか現れればいいんだから。

 試合の結果自体は、あたし達の負け。試合に勝って勝負に負けたってトコかしら。

 でも目的は達成した。

 うん、見物してた同級生も涙ぐんじゃったりして結構好い雰囲気だったわよ。

 不満と言えばひとつ。

 今回の推奨属性は【賢明】だったせいか、あたしの能力Lvはまったく上がってなかったこと。

 そりゃあたしは【賢明】なんてないけどさ、剣使って銃も使ってたのになあ……

 

 ひとつ気なったと言えばタイトルかな。

 「楽園のひずみ」

 もしあたしの考え通りなら、この「ひずみ」は……その辺りは仁壬くんに任せるか。

 

 

 文責:神代神楽

 

 

 追伸:養心義塾・名東千種へ

 と言うワケで、推奨属性が【賢明】の生徒会長委員会にはたぶん出席しないと思う。

 どーせ、あたしなんて、筋力と強靱活かせる方に行った方がいいのさ、フフフフフ。

 

 

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