あなたの身近に居る人が、ある日を境にして何処か異なる雰囲気を纏うようになった、という経験をした事はありませんか?
大抵の場合は思い過ごしでしょうが、ハンターであるあなたは、隣人の正体がシェイプシフターであると疑ってみた方がよいかもしれません。
シェイプシフターは、その出自を隠し通す事にかけては極めて狡猾です。彼らは化ける対象とした人間の姿形はおろか、考え方や記憶までをもコピーする事が出来ます。生半可な観察眼では、その正体を見破る事は叶わないでしょう。
シェイプシフターは何処にでも居ます。最も人間社会に溶け込んだ「この世ならざる者」です。しかも厄介な事に、彼らは人食いを目的としておらず、その行動原理が不明である場合が多々あるのです。
それでも、私達ハンターはシェイプシフターを狩らねばなりません。何故ならシェイプシフターに化けられた人間は、確実に不幸な目に合っているのですから。
<シェイプシフターの成り立ち>
人間の姿形をそっくり真似する怪物。
こうした「この世ならざる者」は世界中の昔話の中に出て来る素材ですが、シェイプシフターはその中の最大派閥と言えるでしょう。そう、シェイプシフターは現代にあっても、私達の想像を超える割合で社会に浸透しています。尤も、彼らは人間と性交渉を持っても子を成す事が出来ませんから、その数が減る一方であるのは間違いないのですが。
シェイプシフターがどのようにして誕生したかについては、人外を出自とする大抵の「この世ならざる者」達同様、実の所よく分かっていません。ただただ彼らは、人間に化け続けるのみです。その行動原理については全くの不明でして、何の為に存在しているのかさっぱり分からないシェイプシフターは、この世ならざる者の中でも相当の変り種と言えるでしょう。
ただ、彼らは総じて数百年単位で生存出来る長命種でもあります。人間同士の共感とも、きっぱり無縁の人外です。よってその性格は人間の倫理観念を無視した、トリッキーで凶悪なものである場合が大概ですね。善良なシェイプシフターの話など、ついぞ聞いた事がありません。
シェイプシフターが人間に化けるプロセスは、非常に厄介です。これ、と決めた人間を一度観察しただけで、彼らは当該人物の姿形、服装、装飾品、おまけに考え方や性格、更には癖までをも模倣します。極めて簡単に当の人間になりきってしまう訳ですから、昔からハンターとシェイプシフターの戦いは、苦心を極めたものだったのです。
それでもシェイプシフターを、私達は抹殺しなければなりません。シェイプシフターは対象に完全に成りきる為、その人間を略取して殺してしまう場合がほとんどなのです。それを比較的短いサイクルで繰り返すのですから、凶悪な連続殺人犯と同じようなものだと考えていいでしょう。シェイプシフターを逮捕して裁判にかける事は出来ないのであれば、ハンターはハンターの流儀で、彼らに対し制裁を加えねばならないのです。
<シェイプシフターへの対処>
昔のハンターがシェイプシフターを見つけ出すのは苦労した事でしょう。何しろその人物に完全に成りきってしまえる訳です。敵を仕留める際は、シェイプシフターが人間の皮を脱ぎ捨てる現場を抑えるか、或いは見当をつけてぶっつけ本番に挑むしかありませんでした。その過程で誤殺という状況も、決して少なくはなかったでしょう。
しかしながら現代は違います。私達にはこの世ならざる者の存在を見破る万能アイテム、EMF探知機があります。ハンターと言えど、日々の生活において始終EMFを点けっ放しにしている訳ではありませんが、シェイプシフターである事が疑わしい人物に対し、ピンポイントで使用すれば必ず判別に役立つはずです。
いざ、シェイプシフターと実戦となった場合、注意せねばならない点があります。これまでも何度となく繰り返しましたが、普通の銃器が通用しません。しかしそういったこの世ならざる者達同様、必ず弱点があります。
それは銀です。人狼同様、シェイプシフターには銀が致命傷となります。それも内臓の重要器官、心臓の破壊が極めて効果的です。シェイプシフターは普通の人間に比べれば高い身体能力がありますが、技術を持つハンターであれば格闘戦でも抑え込む事が可能です。
兎にも角にも肝要であるのは、シェイプシフターの正体を見極める事でしょう。そして正体を見破った事を、決して敵に悟られないようにして下さい。でなければ、シェイプシフターはあっと言う間に別の人間に変身してしまいますからね。
この世ならざる者達:『シェイプシフター』