これまで「この世ならざる者達の項に入れるのは躊躇する」というような紹介の仕方を幾つかして参りましたが、此度の悪魔崇拝者「サタニスト」以上に当てはまるものは無いでしょう。

 サタニストはその名の通り、悪魔を崇拝する邪教集団ですが、その実は何処を取っても単なる人間です。彼らを始末するのに悪魔祓いや結界の類は必要ありません。ナイフの一撃、鉛玉の一発で事は済みます。

 しかしながらサタニストは、この世ならざる者全般において、厄介な特性を持っています。しつこいようですが、それは彼らが正真正銘の人間である事です。例えとっくの昔に人間としての正道を外れた存在だったとしても、彼らは社会の規範を守りつつ何処にでも潜んでいます。始末すれば終了の輩とは、対処の手段がまるで異なるという訳です。

 それでもサタニストは、見紛う事無きハンターの敵です。悪魔と深く関連する彼らを野放しにするのは、決して見逃せぬ事態なのです。

 

サタニストの成り立ち

 サタニストは、悪魔が悪魔としての形を成したところから、ほぼ同時期に存在しています。

 キリスト教的教義に添う形で教えに反旗を翻した彼らは、いわば人間社会における悪魔の使い走りです。サタニストは数々の映画の題材となっておりますが、現実の彼らは映画ほど邪悪な所行を活発に行なう訳ではありません。悪魔から命令が下らない限り、サタニストはむしろ模範的市民として静かに生活しているものです。そう、悪魔から命令が下らない限りは。

 ひとたび悪魔から指示が出れば、サタニストはその本性を露にします。そうなると、彼らが守っていたはずの一般常識は覆り、たとえ対象が子供でも、良心の呵責なく危害を加える事でしょう。

 害を及ぼす方法は様々です。人間に出来る範囲での物理的行動から、有名なところでは黒魔術の執行等。尤も、黒魔術を悪魔並みに駆使してくる本格的な使徒は稀な存在で、多くの場合は一つの集団に1人か2人居る程度です。

 ただ、この強力な黒魔術執行者の存在が、ハンターにとってサタニストを強敵たらしめています。ほとんど100%の確率で執行者は悪魔との契約者でもあり、悪魔の力を借りて魔術を駆使して来るのです。人間の身でありながら悪魔の力を使ってくる敵。このように書けば、その厄介さが御理解頂けるかと思います。

 黒魔術と言っても様々ですが、象徴的なアイテムとして呪い袋があります。呪い袋は文字通り、所持する者に多種多様な呪いをかける為のものです。もしも執行者と思しき人物と接触した経験のある方が居らしたら、どうか御注意下さい。あなたの持ち物やバッグ、そして部屋のどこかに、何時の間にか呪い袋が紛れ込んでいるかもしれません。

 

サタニストへの対処

 ハンターはギャング程度の相手ならば、素手で容易く殺せる技能を誰しも有しています。サタニストに至っては、かような戦闘技能を持っていない者がほとんどでありますので、その戦いは全く勝負にならない内にハンターが制する事となるでしょう。

 ですから、ターゲットは悪魔との契約者に絞り込みましょう。契約者さえどうにかすれば、サタニスト集団を簡単に崩壊させる事が出来るはずです。

 サタニストとの戦いにおけるポイントは、ハンターが先手を取れるか否かにかかっています。サタニストは黒魔術を用いるという性格上、念入りな準備を張り巡らせている場合がほとんどです。即物的な反応を見せる通常のこの世ならざる者とは趣が全く異なるのです。ですからサタニストのターゲットとなってしまうのは、非常に危険な状況である事を注意しなければなりません。しかしながら奇襲が成立さえすれば、契約者が悪魔のように常軌を逸したPKを行使出来る訳ではありませんから、簡単に勝てます。

 問題はむしろその後です。彼らはサタニストになった時点で、一般人とは価値観が反転している場合がほとんどです。サタニストといえども人間ですが、少なくとも契約者は確実に始末しておくべきだと私は考えます。殺したサタニストに一般社会での罪状はありませんから、ハンターは嫌疑が自分に向かわないよう注意する必要もあるでしょう。警察関係者にハンターの仕事を知っている方が居ましたら、相談される事をお勧めします。

 最後にもう一つ。サタニストの黒魔術は、人間相手にしか通用しません。もしもこの世ならざる者に味方が居るのでしたら、彼の助力を仰げば戦いは更に有利になるでしょう。

 

 

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この世ならざる者達:『サタニスト』