私のこと

 

 万時滞りなく、と言えば聞こえが易しい代物ですが、それを実現する為には大変な労力を要するものです。それが此度の「THE STING」作戦におけるD班の役回りでした。

 D班の目的は極めて重大なものであります。「本命の」後舁をリューリクに送り届ける。大げさな言い方になりますが、作戦の成否の半分は私達D班が担っていたと考える次第です。棺を偽装する中里影月さん、リューリク行における輸送役のクリス・スカイフィールド、そして専ら護衛役の私。何れが欠けても極めて厳しい状況に陥っていた事でしょう。

 そういう自覚を踏まえて、あのように目標を達成出来た事について、私はひどく安堵しております。思えばクリスと長らく居た東北では、そんな感覚を覚える暇がありませんでした。日増しに悪くなる状況と、泥沼に縺れ込む焦燥感。しかし、私は一つ仕事をやり終えて、ようやく地に足を付けた気がします。

 最早惑う事も無いでしょう。後は歩を進めるだけ。しかし気持ちの良い彼等と宇宙に行く事はありますまい。其処に私が行かねばならない理由を見出せませんから。私は私の、本来の理由に立ち返って野を往く覚悟を固めました。即ち、私を強くするという目標に向けて。

 短いながら、報告はこれにて。

 

追伸:

 これから久々に兄と組み手を打つ事になりました。互いが何処まで伸びているのか、本当に楽しみです。

 

文責:香車董子

 

 

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