祝・称号「獣使いの不審」消滅報告
消えたあっ!
ついに、やっと、とうとう消えましたよ、あの微妙に忌々しい称号が! いや、それにしても駄々長い三ヶ月だった。猫殺しの犯人だと勘違いしていたリンダに詫びの鯖寿司を持って行き、お返しに貰った血液記憶総量-100のアホ称号が消えるまで、ホント紆余曲折の道のりだったぜ。
最初はリンダにゴマを摺っておこうと、ホルトの屋敷に行った彼女を隠れて防衛する、なんて安直な作戦をした時もあった。結局事も無く空振り三振を喫し、やる事が無くなって窮した俺は、リンダの家で犬猫を守っていた訳だ。これが2ヶ月連続全く同じ行動で、我ながら暗澹たる気持ちになったもんだが、どうもこれが功を奏したみたいだな。何のかんの言って、犬猫、結構守れたからな。まああれだ、努力と工夫を凝らして消したというより、何時の間にかアクションシートから記載が無くなっていたという、単なる偶然感で一杯であるのは釈然としないが、終わりよければ全て良し。性質の悪い肩こりが治って、良かった良かった。
しかし何だろうな。もしクリスティンファンなんて人が居たら先に謝っておくが、どうも申し訳ありません、クリスティンてドレーガは、本当にポンチさんだな。大体2ヶ月連続で馬鹿正直に掘渡邸へ突っ込んで行く事ぁ無えだろ。それじゃまるで俺ではないか。前よりも防御が固くなっているくらい承知の上だろうに、相も変わらずメインウェポンは出刃だ。ちなみに俺のところへ「出刃ではなくナイフですよ」という小気味良い突っ込みが入ったのだが、出刃の方がクリスティンらしいので、敢えて出刃で押し通す事にする。
俺だったら、もっと搦め手を使ってみるだろうな。2ヶ月連続同じ行動の俺が言える話ではないが。そういう意味では、俺とクリスティンは実に波長が合っているのかもしれねえ。懸命に考えた挙句が駄目行動。何だか書いてて俺は悲しくなってきた。
さて、次はどうだろうな。一応クリスティンは監禁状態で、犬猫殺しのメインアクトレスが動かない以上、俺がここに居る動機はあんまり無いのだ。テメエよりも力の無いものを殺戮する理不尽さを、俺は単にぶっ潰したかっただけだしな。しかし事は易々と終わりそうにない。そんな気がするんだ。
クリスティンのバックには、怪しい画策をしている何かが見える。ホルトの習わし。ドーター。ホルト家と教授側の対立。全部一つに繋がっているのは間違いないのだが、その中で果たされるクリスティンの役割って奴を、もう少し注視する必要がある。
そういう意味では、クリスティンが手元にあるのは僥倖だ。
取り敢えず謎を追いかけるのは他の才気走った連中に任せておいて、俺はクリスティンとメンチ切り合いつつ護衛をやってみようと思う。
なんだ、結局似たようなベクトルのアクトじゃねえか。
ひょっとすると今回も俺は駄目なんだろうか。駄目なんだろうなあ。
文責:平田安男