戦い止まず

 

 此度は書く事も、あまりありません。既に知られた話ではありましょうが、ここで記録として留めておく為に書き残しておこうと思います。

 稲穂の神玉を持つ佐藤七生という少年は、適合者をソロモンの娘へと誘う媒介者です。ソロモンの娘。漆黒を滅ぼす者。最早これは私達の世界において周知のものとなり、彼を巡ってかつてない規模の混乱が生じる事態となるでしょう。

果たしてこの混乱が迎える落着の形は如何なものになるのでしょうか。恐らく誰にも分からないその結末は、しかし佐藤七生さんの心が鍵を握るのだと私は考えています。

 今や一日の大半を昏睡する七生さんの、彼の心は何処にあるのか。何を成したいのか。押し寄せる状況に翻弄される一方の彼にとって、彼自身の意志だけが荒波に対抗し得る切り札となるでしょう。そして彼を支える友人達が居れば、必ずや道は。

然れば私は何とする?

私に出来る事はそう多くはありません。ただ私は、私の生徒達に向かって収斂する理不尽の、全てに対して戦うのみ。

 

文責:香車董子

 

 

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