迫り来る闇

 

 佐藤七生と共にディーリアス氏の邸に引越してひと月、事態は急変する。以前からどことなく様子が変だった佐藤七生が、実はスケルヘールであった事が判明し、それを知ったディーリアス氏は、無情にも七生を放逐、我々もまた、七生と共にディーリアス邸を出て行く事となった。<赤>しか愛せず、スケルヘール=「赤ならざるもの」を厭う<黒>であったディーリアス氏は、七生がそうだと知った途端に、態度が豹変し、有無も言わせずに七生を拒絶した。我々は、改めて、スケルヘールという存在の、哀しい定めを思い知らされる事となった。

 また、ここへ来て、ようやく「S管」との、本格的なコンタクトが成立。ここ平泉での事件の真相が、徐々に明らかになりつつある。この地には、太古から受け継がれて来た、『稲穂の神玉』なる秘宝が存在し、それを巡って複数の勢力が争っているらしい。「S管」もスケルヘールを配下してはいるが、例の通り魔事件を起こしているのは別のグループであり、北条一門も、一枚岩ではないという。

 話によれば、北条一門の中に、この地に潜伏する<黒>と結託した造反組がおり、その連中が一連の事件の張本人らしい。そして、その<黒>とは、あのディーリアス氏。しかし、奴自身はスケルヘールうを嫌っているにも拘わらず、配下において使役しているというのは、矛盾した話ではある。しかし、そのディーリアス氏の許にしばらくの間いたとは、後で考えてみれば、危うい所であった。

 ともかく、今となっては、今後の身の振り方をどうするか、戸惑いは深い。

 

文責:御子神翔

 

 

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