平泉を覆う影

 

 平泉周辺の住民を脅かしている通り魔事件は、遂に件の人物、七生の身辺にまで及ぶに至った。七生の養父は死亡、養母は意識不明の重体で入院。そこへ突如として現れた謎の人物、アルベール・ディーリアス氏。このタイミングでの保護の申し出は、どう見ても出来過ぎの感がある。我々はやむなく、七生と共にディーリアス邸で暮らす事になったが、氏への疑惑は深まるばかりだ。さらには、『晶中歌』に絡む関係者への妨害や、「仙石重工」一関新工場絡みの黒い噂など、どこもきな臭い。そして、明らかにスケルヘールとおぼしき刺客の存在。どうやら水面下で、様々な勢力同士の暗闘が、繰り広げられているようだ。噂では、「S管」と称する「Alexa」系の組織や、「仙石重工」関連の北条家一門が係わっているらしいのだが…。

 そんな中、突然七生が倒れ、周りにいた数人が、奇妙な共感現象を体験するという事件が起こった。そして、聞こえて来た謎の声。これが、最近噂に聞く謎の呼び声なのか。何れにせよ、七生の中には、未知の何かの力が宿っているのは確かだ。そして、それは一連の事件と、無関係ではあるまい。

 今、この平泉の町は、何か見えざる手で、覆われつうある。その、底知れぬ闇の深さに、住民の不安はつのるばかりだ。 

 

文責:御子神翔

 

 

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