ペット殺害事件は何時まで続く?
長い。幾らなんでも長すぎる。
ペット連続殺害事件が世に出てから既に三ヶ月目に差し掛かり、未だ犬猫殺しは止んでいない。そして殊更面妖であるのは、誰の仕業か、奴が何処に住んでいるのか見当がついているにも拘らず、一向に相手を捕縛出来ない、その一点につきる。
理由は分かる。相手の拠点が住宅地のど真ん中にあるからだ。並の変質者なら状況証拠を警察に提出して逮捕を待つだけで済むのだろうが、残念ながら敵は人外だった。実際に攻撃を仕掛けてみたんだから分かる。常軌を逸した運動神経、相棒のボーリャによる異能攻撃を喰らっても、数発貰って卒倒しないタフさ。こういうものに対処出来るのはアレクサだけだし、最早オモテの治安維持機構の出る幕じゃない。この事件の始末は、闇の中で粛々と決着をつけなければならなくなった。事は慎重の上に慎重を要するのだ。
とは言え、ウダウダやっている場合じゃ無え。俺の目的は引き裂かれた犬猫の死体を見ないで済むようにする事だ。前回は用心のために退いちまったが、次は勝つ。もう逃がさん。犯人の目的なんぞはどうでもいいし、興味も無え。ただ、不必要に命を散らした畜生共になり代わり、奴に高風圧をかまして殴って殴って縛り上げ、然る後は家に連れ帰って拉致監禁、泣きが入るまでこんこんと説教してやらあ。あの下衆野郎が。
でもアイツ、攻撃を喰らった時に「みぎゃあ」とか喚いてたな。何みぎゃあって。言葉が全然通じない奴だったら、どうしよう。
文責:平田安男